文字サイズにはいろいろな単位があります。
今回は、文字のサイズを表すいろいろな単位についてお伝えします。
活字から写植、そしてDTPへと進化していくのに伴い、日本語の文字サイズの単位も変化していきました。
書類やチラシなど、文字を使ってレイアウトするときには、文字のサイズをコントロールする必要がありますので、理解しておきましょう。

文字サイズは読みやすさに関係するってことね

デザインにも関係するよ
今回の記事は
【誰に】文字のサイズの単位を知りたい方
【何が】和文(日本語)の文字サイズの単位(号、級、ポイント、ミリ)が理解できます
そもそも文字のサイズとは、四角いハンコの一辺の長さのことです
今回お伝えしている文字のサイズというのは、印刷物やパソコンで表示するときの文字の大きさのことです。
この文字のサイズを伝える単位が色々とあります。
文字のサイズは、文字の入った四角い箱(仮想ボディといいます)の1辺の長さのことを言います。


仮想ボディというのは、ハンコの枠と考えるとわかりやすいですね
もともと印刷物は、活字を使って印刷していました。
活字というのは、文字や記号が逆向きに突起した四角柱状の鋳造物のことです。

文章にするときにはこの活字を一つずつ木枠に並べて、それにインクを付けて刷っていたのです。
この活字は、文字サイズに応じて、何種類も活字が用意されていました。

大きいハンコとか小さいハンコとか、色々あったってことね
活字の枠をボディと呼び、コンピュータでは実際の枠はないので、仮想ボディと呼んでいます。

文字のサイズ=仮想ボディ(四角のマス目)の一辺の長さ
文章を作るためには、文字を並べていくことになります。
パソコンやスマホで文字を打つと、横に文字が並んでいきますよね。
印刷物を作る場合、文字を並べることを文字組みというのですが、和文(日本語)の文字組みは、仮想ボディをすきまなく並べていくのが基本です。

四角いハンコを並べていくイメージね
日本語の場合、漢字・ひらがな・カタカナと3つ文字の種類があります。

英語だと、アルファベットだけだよね
それぞれの文字を考えていただくと分かると思いますが、文字の横幅は形によって違っています。

例えば?

たとえば、ひらがなの「し」や「り」はどうですか?

細長いね
「し」や「り」のように縦に細長い文字の場合、仮想ボディを真四角にすると、左右に余白ができてしまいます。
そのまま文章にすると、その部分だけ文字と文字の間隔が空いているように見えます。
それを防ぐために考えられたのがプロポーショナルフォントです。
プロポーショナルフォントは、仮想ボディの横幅が文字により異なります。
MSP明朝やMSPゴシックのように「P」が付いているフォントをご存知ではないでしょうか。

この「P」が付いているフォントがプロポーショナルフォントです。

Pの方がつまってるね
気をつけていただきたいのは、プロポーショナルフォントが必ずしも見やすいわけではないということ。
日本語の場合、句読点も含めて、すべてが同じ幅で揃っていたほうが、数行に渡る文章は読みやすく感じるためです。
どちらのフォントを選ぶかの目安
・文章が数行に渡る/いくつかの文章が続く⇒等幅フォント
・1行で文が終わる⇒プロポーショナルフォント
本などの印刷物では、文字のサイズだけではなく、文字組みの設定でも調整しています。
例えば、句読点は文の頭にならないようにする(禁則処理と言います)などの文字組に関するルールや、見やすさのための細かな設定がされています。

専門的になるので、興味がある方は「文字組み」「組版」などで検索してみてね
また、和文の中に英語が混じる場合、等幅フォントだと英語部分がつまって見えることがあります。
日本語を等幅フォント、英語をプロポーショナルフォントで設定することでキレイに見えます。

えー気になる、持っている本を見てみよう!
ちなみに名前に「P」がついていないプロポーショナルフォントもあります。
(例えばウィンドウズに搭載されている「Meiryo UI」)
日本で使われている主な文字サイズの単位(号、級、ポイント、ミリ)の特徴
ここからは、日本で使われている文字サイズの単位とその特徴を紹介していきます。
号(ごう)
「号」は日本の活字で使われている単位です。
大きさとして初号・1 号~8 号の9 種類があります。
号は活字を使った印刷で使われていました。その後の写植やDTP では使われていません。

写植は、写真の現像のように焼き付ける手法で、DTPはコンピューターを使ってレイアウトをおこなう手法だったね
写植や活字については、こちらの記事でも触れています。
文字表現を豊かにするために、サイズの違う活字を数多く用意していました。
級(きゅう)
「級」は写植組版で使われ始めた単位です。級も号と同じく日本独自の単位です。
1 級=0.25 ミリです。
1 ミリの1/4(=Quarter)であるところから、サイズを指示するときには「Q」と略すことが多いです。
級と同じサイズ(0.25mm)で「歯」という単位もあります。
これは、写植における移動量の単位で、字や行を送るの(どれくらいずらすのか)に使われるものです。
手動写植機に付いている歯車のピッチから生まれた用語で、「H」と略されます。

文字サイズはQで、字や行を送る単位はHね
「級」と「歯」は、印刷業界で使われてきた単位ですので、今でも印刷物を作るデザイナーの方が利用しています。
4級で1mmなので、計算がしやすいという面もあります。
pt(ポイント):欧米の活字サイズに基づく単位
pt(ポイント)は、写植やDTP で使われる単位です。欧米の活字サイズに基づいています。
一般的なDTPソフト、ワープロや表計算ソフトなどで、ポイントが使われているものが多いです。
1 ポイントは約1/72インチ(約0.35mm)です。
ミリ
ミリメートル(記号mm)は、国際単位系の長さの単位です。
1 mm(ミリメートル) = 0.1 cm(センチメートル) = 0.03937 in(インチ)です。
文字サイズとして「mm」で設定することはないと思いますが、実際のサイズのイメージが付きやすいので、級やポイントの換算として利用できます。

ミリなら定規で測れるね
単位(号、級、ポイント、ミリ)を並べて比較してみます
さきほどご紹介した、号、級、ポイント、ミリの4つのサイズを並べてみます。


どう見ればいいの?
表の見方ですが、横列が(ほぼ)同じ文字サイズをあらわしています。

例:7号=8級=5.5ポイント=2ミリ


ミリのところに※がついてるのがあるけど何?

1 ポイントは0.3514ミリってところね
1 ポイント=0.3514 ミリになるのはアメリカやJIS の活字の規格です。
ただしパソコンのMac やWindows の1ポイントは0.3527 ミリ=1/72 インチになっています。


1/72というように、数えやすくしているんだね
インチはアメリカで使われている単位です。


10.5ポイントのところにも※がついてる

Microsoft社のワープロソフト「Word(ワード)」は知ってますか?

知ってる! お母さんが悪口いっぱい書いてたよ

そういうことは言わないの
もし「Word」をお持ちの方がいましたら起動して、新規文書の作成をしてみましょう。
標準ではA4判で10.5ポイントの文書画面が現れると思います。

出てきた! でも10.5って中途パンパな数字だよね
これは、日本の文字サイズの単位「号」に由来してます。
日本でもともと使われていた「号」は、五号を基準にして各号の大きさが決められていました。
この「五号」のサイズがほぼ10.5ポイントであるため、現在も使われているのです。


へえ、面白い
【まとめ】文字のサイズ単位は、一般的にはpt(ポイント)、印刷物を作るときは級数(Q)を使います
今回、4つの単位を紹介しましたが、実際に使うのは「ポイント」と「級(Q)」です。
一般的なパソコンのソフトでは「ポイント」でサイズが指定されています。
印刷物を作るためのソフトでは、「級」が使えます(ポイントも使えます)。
「号」は現在使われていません。
ミリは、「ポイント」や「級」が実際どれくらいの長さかを考えるときに(換算して)利用すると良いでしょう。
今回は文字のサイズを表す単位についてお伝えしました。

読んでいただき、ありがとうございました!

次回は、お母さんがワードで書いた悪口を紹介します!

しません!