企画・発想に関する書籍を紹介します。
今回は青木亮作さんの『アイデアとかデザインとか』です。
タイトルの「とか」「とか」にたくさんの意味が含まれていて、楽しく読めました!
『アイデアとかデザインとか』の概要
タイトル | アイデアとかデザインとか |
著者 | 青木亮作 |
出版社 | 翔泳社 |
発売日 | 2022/11/4 |
ページ数 | 256ページ |
サイズ | 14 x 1.7 x 18.8 cm |
『アイデアとかデザインとか』の目次
『アイデアとかデザインとか』の目次は以下の通りです。
【目次】
1章 閃こうの巻(「透明な本」のための7年間―BOOK on BOOK開発秘話;3つの壁を取り払え ほか)
2章 作ろうの巻(夢を夢で終わらせないために;「作品」じゃなく「試作品」を作ろう! ほか)
3章 疑おうの巻(デザインなんて知らない;四角を丸くする ほか)
4章 飛び出そうの巻(楽しい方の自転車操業;受け身なのか主体なのか ほか)
5章 話を聞こうの巻(不安と向き合うコツ;見積もりと向き合うコツ ほか)
青木亮作さんはTENTというクリエイティブユニットのメンバーです
青木さんはオリンパス、ソニーでプロダクトデザインをはじめ商品戦略や企画を行い、2011年にクリエイティブユニットTENTを設立。
TENTはさまざまな製品の企画からブランディングまで行い、大ヒット製品を数多く手がけていて、国内外のデザイン賞を数多く受賞しています。
例えば、テーブルランプの『ICHI』。
フライパンがそのままお皿になる『ジュウ』。
なるほどと思うアイデアが、シンプルで美しいデザインで表現されていて、どれも素敵です。
青木さんは、私と同じ名古屋生まれだそうです。同郷だと知ると親近感が出ますね。
【感想】アイデアとかデザインとかの「とか」に意味がある
この本のタイトルは『デザインとかアイデアとか』なのですが、このタイトルの「とか」に意味がたくさん含まれているなあと思いました。
デザインテクニックを学びたい、アイデアの出し方が知りたいと、直接的に必要となる情報(知識やノウハウ)を伝える本ではなく、もっと本質的な部分への問いを解説してもらえていると感じました。
その上で、具体的にこうするといいよとやり方も説明されている。とても有益な本でした。
本自体がおもてなしの塊
この本は、フルカラーで写真も多いので、楽しく読めます。
また、セクションごとにまとめ方が違っていて飽きることなく読めました。
生み出した製品そのものの紹介だけでなく、コンセプトづくりのところや、企画書の内容も掲載されていて、勉強にもなります(特にプロダクトづくりしたい方向けです)
とにかく読み手に対する『おもてなし』心をとても感じました。
表紙や帯にもちょっとしたネタがあります
これは青木さんの性格もあると思うのですが、私の感じたこの『おもてなし心』みたいなものが、製品にも入っていて、だからこそ多くの人に愛されているんだなあと感じました。
ものづくりしたい私へのアドバイスは「見積もりを取れ」でした
ジャンル関係なく色々なプロダクトを生み出している青木さんですが、一番最初につくったのは、本を開いたまま手を話して読むことができる、透明な板『BOOK on BOOK』だったそうです。
そのときの試作から製品化までの流れも面白いので、ぜひ本を読んでほしいのですが、その話のあとに、もし何か作りたい人がいたらこうするといいというアドバイスがあります。
ググって工場探して、資料や図面送って、見積もりと納期を聞こう
アイデアとか、デザインとか
実は私も、以前グッズを作ろうとして色々考えていたことがあります。
私は本が好きなので、本に関係するグッズを作りたいなあと、ノートに色々スケッチしたり、企画書にしたり。そのうちのいくつかはサンプルを仲間につくってもらったりもしていました。
そのときは製品化には至りませんでしたが、まだ作りたい欲は消えていないので、なんとか実現したいと思います。
あきらめないが肝心ですね
メーカーの人向けの話しもありました
少し変わった方向で、メーカーの人に向けて書いてあるパートがあります。
「もう騙されない、デザイナーの見分け方」というところ。
青木さんの元には「昔デザイナーに頼んだけどダメだった」という方がけっこう来るらしいです。確かに地方の中小企業をデザイナーが救うみたいな感じの時代がありましたね。
その頃、良い体験をしていないメーカーも多かったみたいです。
青木さんは今ならこうやるといいのではとやり方を本で紹介してくれています。とくに特定の製品が得意な方にその製品を頼むといいというわけではないというところは、なるほどと思いました。
別のジャンルの製品だったとしても、その人が何を考えどう作ったかというモノづくりの思想は変わらないんです。
アイデアとか、デザインとか
人生相談もあったりします
本の中には、開発秘話のパートがあったり、個人の悩みを聞くパートがあったりします。
開発秘話では、いくつかの製品の開発時の苦労話が分かって面白かったです。そしてメーカーの方とTENTの方の関係性の良さも見えていました。
悩みのパートでは「フリーランスのデザイナーのお金の心配」なんていうお悩み相談があります。
私もフリーランスになって、まったく同じ悩みを感じていたので、アドバイスにとても納得しました。
会話形式なので読みやすかったです。
青木さんやTENTの考え方を知ることができて、とても参考になりました
いかがだったでしょうか。興味が出た方は、ぜひ『アイデアとかデザインとか』を読んでみてください。