わかるとは、つながることだ

ライティングの技

この説明、わかりにくいなあ、なんて思うことはありませんか?

でもわかりにくい、って言う前に、「わかる」ってどういうことでしょう?

わかる人いますか?

はじめちゃん
はじめちゃん

わかるくらい、わかるよ!
ほら、あれでしょ、あれ

カラピー
カラピー

はやく答えて

はじめちゃん
はじめちゃん

ああ、わかる、わかるよー、カラピーの言いたいことは。
私のことをわかって、って思っていることをわかってほしいんでしょ

カラピー
カラピー

違います

はじめちゃん
はじめちゃん

違うの? わかってないのボクの方?

シルベッシー
シルベッシー

はじめちゃんのわからずやー

私は会社でテクニカルライターを始めた当初、「文章はわかりやすく」書きましょうと教わりました。

当時は、わかりやすくするためのテクニックを学んではいたものの、そもそも「わかる」ってどういうことかを考えたことはありませんでした。

もしかしたら、みなさんも「わかる」ってどういうことかなんて考えたことはないかもしれませんね。

何回かに分けて、この「わかる」をできるだけわかりやすく解説したいと思います。

今回はわかったという瞬間に何が起こっているか考えてみましょう。

この記事を読むと
・わかるとは、何が自分に起きた状態なのかがわかります。
・わかりやすくするときに考えるポイントを知ることができます

わかるということは記憶をさぐること

さて、いきなり問題です。

次の写真に写っているものは何でしょうか?

シルベッシー
シルベッシー

猿のおもちゃ?

はじめちゃん
はじめちゃん

フィギュア?

カラピー
カラピー

よく見てください、頭にアンテナがついてます。
体の横にはダイヤルがありますね

はじめちゃん
はじめちゃん

わかった! ラジオだ!

カラピー
カラピー

正解です

これ、お猿さんの形をしたラジオなんです。

かなり昔に雑貨屋さんで買ったモノ。

このお猿さんラジオ、壊れて今は手元にないのですが、可愛いし、防災グッズ(ラジオなので)にもなるからいいな、と思って買った記憶があります。

さて、さきほどのやり取りの中で、わからない⇒わかった! になった瞬間がありましたよね。

あのとき、何が起きていたのでしょう?

シルベッシー
シルベッシー

天からの啓示?

カラピー
カラピー

大げさすぎ

はじめちゃん
はじめちゃん

悪魔の囁き?

カラピー
カラピー

怖すぎ

なんとなく、自分の記憶を探って、その中から似ているものを照らし合わせて、推測しているようですよね。

そして、これだと確信を得たところで「わかった」となっているのではないでしょうか。

辞書で「わかる」を調べてみた

1 意味や区別などがはっきりする。
2 事実などがはっきりする。判明する。
3 物わかりがよく、人情・世情に通じる。
4 一つのものが別々になる。わかれる。

デジタル大辞泉(小学館)、weblio

今回は「わかりやすい」文章や説明について取り上げていますので、上記のうちの「1」が当てはまりそうですね。

お猿のラジオは「2」かな。

つまり「わかる=はっきする」ってこと。

シルベッシー
シルベッシー

はっきりする。 
うーん、わかるような、わからないような・・・ 

何とつながってわかるとなるのか

では、もう一つ問題。これはなんでしょうか?

はじめちゃん
はじめちゃん

ポスト!

カラピー
カラピー

どうしてわかりました?

はじめちゃん
はじめちゃん

形かなあ

カラピー
カラピー

でも色は違いませんか?

はじめちゃん
はじめちゃん

ポストって赤色だよね

カラピー
カラピー

形以外にポストだと思ったのはどのあたりですか?

はじめちゃん
はじめちゃん

郵便のマーク 
あと、口が開いているところ

シルベッシー
シルベッシー

手紙が入るところだね

はじめちゃん
はじめちゃん

かまぼこの板も入りそう

はじめちゃん
はじめちゃん

かまぼこの身はスライスしたら入りそう

カラピー
カラピー

何の話?

自分が知っている、郵便のマークや、ハガキや手紙を入れる口の形と、今見た絵を頭の中でつなげて、これはポストだとわかったことですね。

わかるとは、自分の知っていることとつながること(既知と未知)

私はこれを『既知(きち)と未知(みち)』というキーワードで考えています。

既知とは、すでに知っていること。未知とは、まだ知らないこと。

知識や経験で自分が知っていることと、つながった時に「わかった」となるってことですね。

相手が、伝えたいことに関して、どれくらいすでに知っているか、あるいは知らないかを考えるのが重要

例えば、会社ではさまざまな年代の人と一緒に仕事をしますよね。そのときに自分がこれから伝えることを、相手がどれくらい知っているかをまず考えてください。

自分が知っている(既知)からと言って、相手が知っているとは限らない。

当たり前といえば当たり前ですが、これが意外とできていないなと感じることがあります。

文章だけでなくて、会話でも同じですね。

伝える相手が知っている人の場合
・今までの会話などから、すでに知っているかを判断して話す
・知っているか分からない場合は、その人の人となりから想像して話す

伝える相手が知らない人の場合
・分かっている範囲の情報から想像して話す
・相手に知っているか聞く

当たり前のように感じるかもしれませんが、話し出す前に「自分の話す内容に関して相手はどれくらい知っているだろう」とちょっと考えると良いと思います。

そして、文章も同じです。読む相手がどれくらい知っているか、あるいは知らないかを踏まえて書くようにしましょう。

はじめちゃん
はじめちゃん

シルベッシーは、日本ってわかる?

シルベッシー
シルベッシー

今いるここ

はじめちゃん
はじめちゃん

じゃあ、世界ってわかる?

シルベッシー
シルベッシー

自分の心の中

カラピー
カラピー

哲学的ー

はじめちゃん
はじめちゃん

じゃあ世界を平和にする方法はわかる?

シルベッシー
シルベッシー

金を配る

カラピー
カラピー

現実的ー 

次回は、認知心理学という学問での「わかる」について、お伝えしたいと思います。

カラピー
カラピー

読んでいただきありがとうございました!