私はテクニカルライターです。
テクニカルライターとはマニュアル(説明書)などの文章を、正しく、わかりやすく書く人のこと。
テクニカルとは技術的という意味ですね。最近あまり使わない言葉かもしれません。
私の場合、会社員のころに自動車のユーザーマニュアル(取扱い説明書)を作っていたので、正しく分かりやすい文章で書くのが必要でした。
間違って伝わると、事故や故障につながってしまいますから。
今回から何回かに渡って、あいまいな言葉を減らして、正しく分かりやすく書くコツをお伝えしようと思います。
時間・程度があいまいな言葉は気をつけよう
すみやかに詳細な調査をするよう、具体的な指示を出しました。
早速ですが、この文はどうでしょうか。

なんか偉い人が言ってそう

確かに聞いたことある
この「すみやかに」という言葉では、いつまでか分かりませんね。

偉い人が言うと、ごまかされている感じがしちゃう
同様な言葉に「すぐ」「少ししたら」「そのうち」などあります。どれも、時間があいまいな言葉です。
この言葉を使う方は、次のどちらかなかなと思います。
ひとつは、はっきりした時間を言いたくない/言えない/知らない場合。
もうひとつは、自分はこれくらいの時間だと分かっていて、使っている場合。
後者の場合は、注意が必要です。
自分では分かっているのに相手にはそれが伝わっていない可能性があるから。
共通認識ができていればいいのですが、共通認識ができていない相手の場合は、具体的な言葉にしたほうがいいですね。
例えば「3日以内に」「来週の月曜中で」「12月10日までに」のようにできるだけ具体的に書きましょう。

さっきの文、他にもあいまいな言葉があるんだけど分かる?

うーん、わからない
「詳細な」「具体的な」は実はあいまいな言葉です。
これらの言葉は、よく使ってしまいます。気をつけましょう。

具体的って言葉は、ちっとも具体的じゃないってことだね
次の例です。家電製品の説明文です。
新機能のうち、いくつかの機能は、はじめにリセットボタンをしばらく押してから使用してください。
さて、あいまいな言葉が分かりますか?

「いくつかの」は何個か分からない

「しばらく」はどれくらいの長さか分からない

正解です。他にもありますよ

うーん、どれだろう・・・
「新機能」の「新」は、いつの時点の新か、わかりにくいですね。
製品が発売されたタイミングだとは思いますが、その製品を使うタイミングがずいぶんと後だった場合、誤解する人がいるかもしれません。

メルカリで中古を買ったときとか

WEBサイトで見たときは分かりにくいかも
「2022年12月発売時点の」とか具体的にするとよいでしょう。
まだあります。
「はじめに」は、いつの時点のはじめかわかりにくいです。例えば、電源を入れる前なのか後なのかはっきりしません。
細かく感じるかもしれませんが、あいまいな言葉はできるだけ少なくするようにしましょう。
無意識に使っている言葉も多いですから、意識して確認するクセを付けるといいですね。
認識で程度が変わってしまう言葉
他にもこんな言葉があります。
「基本的には」「一般的に」「十分(じゅうぶん)」
「すばらしい」「さわやか」「きれい」
どの言葉も、それを言った人と受け取った人、それぞれの認識で変わってしまう言葉です。
これらの言葉も普段使っていますよね。
実は個人個人でその程度が違う言葉なのです。

「きれい」って、価値観の違いが出そうだね

絵の具で汚れたシャツをボクはきれいだと思うけど、お母さんは汚いって
次の言葉もあいまいな言葉です。
「確認する」「対応する」

たしかに「確認する」って、具体的に何をするかわからないね
もちろんその前のやりとりで、何をするか分かっている場合は問題ありません。
また過去のやりとりや、その人のことを知っていると、なんとなく伝わることなので、問題はないかもしれません。
ただし、例えば仕事でこういうあいまいな言葉を使うと、後になってから認識がズレていたことが分かったり、伝わっていなかったりすることがあるので注意しましょう。

なんとなく使っちゃうから、注意しないと

そうですね、意識して使うようにしましょう

じゅうぶん分かった気がするので、すぐ対応して、しばらく注意して、確実に具体的なやりかたですばらしい感じになろうかどうしようかどうだろうごにょごにょ。。。

めっちゃ、あいまい!

読んでいただき、ありがとうございました!